架空の町「トーン・チェスター」にあるGホテル。そこには6人の人物がいた。カンヅメにされた作家、その編集者、新進の画家、休暇を楽しむ助教授、実直な給仕、そして、刑事。この6人を巻き込んで3つの出来事が起こる。

303号室。ここに宿泊する作家の元へ編集者が訪れ、画家のゴーストライターになることを要請。怒った作家は編集者と一悶着。205号室。ここに宿泊する助教授の元では、盗難事件が発生。盗まれたのは、論文原稿。その捜査のため刑事がやって来る。それと時を同じくして、近隣にあるホテルでは相次ぐ絵画盗難事件―――。

この3つの事件を巡り、スリリングかつスピード感あふれる物語が展開する。果たして犯人は? 3つの事件のつながりは? しかし……最大の謎は、この3つの事件ではなかった。

Gホテルに隠されていた謎は、6人の人物。彼らは皆、「誰かを演じて」いた。誰が誰を演じている!? この奇妙な関係は偶然なのか、作為的なのか? 執筆作業を放り投げ、作家はこの謎の調査に乗り出す。そして、その関係が解明された時、作家の頭にはある一つのつながりが生まれた……。

ミステリの母国とも言えるイギリス。そのクラシカルな様式を意識した、グラス・マーケッツ渾身のオリジナル朗読劇。

 

朗読=佐野真希子・田中文、ほか
脚本・構成=池田長十
音楽=原澤孝之
撮影=加藤文崇(pob)
フライヤーデザイン=Marble.co
協力=京都三条ラジオカフェ
 

日時:2004年9月23日(祝)〜26日(日)
     23.25.26はpm2:00〜/pm6:00〜の各2ステージ
     24はpm6:00〜の1ステージ
定員:各ステージ35名
上演時間:約70分
料金:2.000円 当日=2.300円(日時指定)
会場:ギャラリー画床(ゆか)
    京都市中京区新京極六角東入ル452-4 SUPER GROUND BUILD B1F

 

 

 

 

 

  

  (池田長十より)
前から書いてみたいと思っていたことが2つあります。それは、2部構成で、1部と2部が全く(テイストが)異なる作品。

もう1つは、架空の街を舞台にした作品(エラリー・クィーンの「ライツヴィル」の影響ですね)。

その2つを実現出来たのがこの『グラマー氏のカンヅメ』でした。僕にとっては記念すべき作品です。いや、何の記念かと言われると非常に困るんですけれど(笑)。

脚本を書いている最中、これほど楽しみを感じた作品はないかもしれません。(そういう意味で記念?)

でも、同時にまた、これほど書き直した作品も他にありません。いや、役者からダメ出しを喰らったんですね。「意味が分からん!」だの「この見せ方はまずい」だの「このセリフ、口が回らん!」だの、(それは役者の責任やんけ、などど思ったり)……いや、恐い、恐い。

役者は、最高の批評家であると僕は信じていますから、勿論、素直に彼女らの意見に耳を傾けました。

そのおかげかどうか分かりませんが、納得の行く作品に仕上がったと手応えを感じています。 とにかく、うちのメンバーには、何かお礼をしないといけないかなあ……?