【作品紹介】佐野真希子より
『草之丞の話』江國 香織
『菊』山川方夫
『むかしばなし』小松 左京
『とくべつな早朝』江國 香織
『あっけない勝利』アル・ナスバウム
『蜘蛛の糸』芥川 龍之介
『てんのり』三浦 哲郎
三浦 哲郎(みうら てつお、1931年3月16日
- 2010年8月29日)
今年8月末に亡くなられました。
ちょうどその少し前、7月初めにインタビューを受けた記事がWEBにあったので、紹介のつもりでちょっとまとめようかと思ったんですが、すでに記事に短くまとめられていて難しかったのでリンクにさせていただきます(笑)
東京新聞《TOKYO Web》
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/doyou/CK2010071002000201.html
『てんのり』は「みちづれ(短篇集モザイク 1)」におさめられています。
三浦さんは青森県八戸市出身で、青森を舞台にした作品も多いのですが、まさにこの作品もそうです。老夫婦の方言を含めた語り口もとても魅力的な作品です。
江國 香織(えくに かおり、1964年3月21日-)
『草之丞の話』は「つめたいよるに」におさめられています。
私は江國香織さんの「つめたいよるに」という短編集は読んだことがないのですがしかし!
知らない間に読破、いや聞破できそうな気が!?(笑)
それは大げさですが、この短編集は朗読される方が題材として持ってこられることが多いのです。この中の『桃子』という作品も人気です。
そこで、ちょっと調べていたのですが、江國香織さんは、『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』といった有名な作品もありますが、最初は児童文学雑誌に投稿した『桃子』が入選し、次に『草之丞の話』がある童話賞で大賞を受賞されていたんですね。
なるほど、児童文学と思うと頷けるところがたくさん。言葉は難しくない分、あれこれイメージをする気持ちが膨らんで、読み手もそれをどうやって表現しようか、という気持ちになってくるんじゃないかな。
ということで「つめたいよるに」第二弾!?
『特別な早朝』は個人的にはこの短編集で初めて聞く作品です(笑)
しかし、これもまた朗読発表会の「およそ8分程度の作品」にぴったりの長さです!少し早いけれどもクリスマスイブのお話。季節感たっぷりですね。
小松 左京(こまつ さきょう、1931年1月28日
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星新一・筒井康隆と共に「御三家」と呼ばれる日本SF界を代表するSF作家。
作品の映画化も多く最近では数年前に『日本沈没』リメイクされてましたね。
SF作家と言っても小松左京さんはとても色んなジャンルのものを書かれていて(漫画家としての作品もある)、執筆活動以外も本当に精力的にされてるんですよね。今回の作品『むかしばなし』は、小松左京さんのショートショートの一つ。いかにもSF作家!ではない方です(笑)
山川方夫
『菊』は山川方夫さんの「親しい友人たち」(昭和38年)という本に最初おさめられました。山川方夫さんは事故で、34歳という若さで亡くなっているので、そんなにたくさんの作品を残したわけではありません。
しかし、前回も山川さんの作品を読まれた方がいらっしゃって、この『菊』という作品も先日友人が「教科書で読んだことあるよ」とか、『夏の葬列』という作品も教科書で取り上げられていて、本当に色々な人に読まれてるんだな、と。。。
個人的にも、朗読すること含めてじっくり読んでみたいなと最近思ってますっ。
アル・ナスバウム(Nussbaum,
Al(bert Francis)1934年−1996年)
『あっけない勝利』は「ミニ・ミステリ傑作選」におさめられています。
今回唯一の翻訳ものの作品です。朗読と言うとやはり、独特の翻訳の言葉よりも、日本語としての表現を大切にしたものが好まれるのは確かです。
ほとんどの作品は翻訳された時点で、言葉の響きよりも内容が重視されますからね。しかし、海外にしかない面白い表現もあります。私も海外のミステリ作品の翻訳ものを朗読をしますが、声に出しては読みにくい(笑)あの独特の言い回しのリズムを楽しみながら朗読しています。言葉の意味だけでなく、リズムという視点からも朗読を考えるとまた世界が広がります。
そんな意味でも、朗読会で様々なジャンルの作品が読まれることがとても楽しみです。
さて、この作家について一言。面白い経歴で、プロの犯罪者となってFBIに追われるんですが、逮捕され服役中に作品を書いてたんですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/Albert_Frederick_Nussbaum
芥川 龍之介(あくたがわ りゅうのすけ、1892年(明治25年)3月1日
-1927年(昭和2年)7月24日)
『蜘蛛の糸』は朗読の王道作品です!!
どんなお話だったか忘れてしまった方もこの機会にゆっくりとお聞きくださいませ。
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