第十六回第十五回第十四回
第十三回第十二回第十一回
第十回第九回第八回第七回
第六回第五回第四回第三回
第二回第一回

     
 

 
    佐野真希子朗読教室 受講生による第十五回朗読会

日時:2013年5月3日(金・祝) 13:00開演 (開場12:30 終演17:00)

入場料:無料
会 場:京都市北文化会館 創造活動室3F
─────────────────────────
出演者
 長岡孝美 坂本美夕 カンナ 上妻沙恵 中野海帆子

 山本ゆき子 比果憲子 辻あきこ 岩本りか 愛子
 井田陽子 末冨喜子 たなかかず 平野雄一 北山阿梨
 出島ひろ子 SARA 垣内浩子 洋恵

─────────────────────────
 京都朗読LABユニットによる詩朗読
 朗読:岩本りか 末冨喜子 辻あきこ 洋恵
 演出:佐野真希子

 

 

朗読:出島ひろ子
作品:「お袋」 井伏鱒二 著


朗読者よりコメント: 私の母が80歳になったとき、『あと5年生きていられるかわからへんなぁ…』と言っていたのだが昨年末、母は90歳になった。
若い頃から仕舞いを習っていたので足腰は丈夫だけど、数年前から物忘れが徐々にひどくなっている。
25年前に病死した息子(私の兄)のことはもうすっかり記憶の外にあるようで、10年前に亡くなった夫(私の父)の写真だけを机に置いて毎日話しをしているようである。
この前は電話帳の私の名前を見て、『最近この人におおてないからもう名前消しとこかな』と私を前にして言った。
私は金沢から大津の実家へ1〜2ヶ月に一度母に会いに来るのだが、その度に私を覚えているだろうかと切ない。
朗読:井田陽子
作品:「字のないはがき」 向田邦子 著



朗読者よりコメント:この作品は、向田邦子さんの随筆集「眠る盃」の中の一編で、頑固親父が「手紙」を通してみせる、不器用な優しさ、思いやりが、少しユーモラスにそして淡々と描かれています。昭和の懐かしさとともに、じんと心にしみてきます。

朗読:辻あきこ
作品:「そこに指が」 手塚治虫 著



朗読者よりコメント: 「60年代日本SFベスト集成」というタイトルにひかれて買った本の中からこの作品を選びました。大勢の人達が常に誰かに見つめられ、監視されていると感じ、不安感から教会や病院に押し掛けるが、なぜそうなったのか、その訳はタイトルにつながっています。

漫画家が書いた作品なので何場面かの絵があり、その絵があることで話の流れが理解できたのですが、朗読してみると言葉だけで表現することのむずかしさに気付きました。
少しでも表現に変化をつけることでその場面を想像していただけるようにしたいと思うのですが------。
朗読:愛子
作品:「旅する本」 角田光代 著


朗読者よりコメント: 本はお好きですか?どんなジャンルの本を多く読まれますか?いつもどんな風に選んでいますか?
今回、私が選んだこの作品は、ある女性と一冊の小説本の物語。
私は、他のモノたちと同様に、本との間にもきっと「縁」があるのだと思うのですが、私たちは本を買う時、たくさんの中から選んでいるつもりでいて、もしかすると、実は本の方からも選ばれている・・・のかもしれません。
朗読:平野雄一
作品:「潜水」・「犬のうなじに咲いた花」 自作詩


朗読者よりコメント: これらの二つの作品は自分が何年か前に書いたものです。
何年か前なので、書いた頃のことは結構忘れているのですが、こんな風にして、久々に声に出して読む機会があると、その時に感じていた気持ちのなんらかをふと思い出すようなことがあります。
でもその気持ちってのは、ほんとにその時に感じていたものなのだろうか。
その辺は曖昧です。
色々と忘れていったりするのだなあ、と思います。
京都朗読LABユニットによる詩朗読
朗読:岩本りか 末冨喜子 辻あきこ 洋恵
演出:佐野真希子




朗読:たなかかず
作品:「車坂」 宮部みゆき 著


朗読者コメント: ━もう、すみました。娘はそう言った━
宮部みゆきの手による作品で、車坂を上がった所で薬種問屋を営む老人の目をとおして紡がれる、とある女性の哀しい物語です。

短い文章の中の四人の登場人物は、それぞれに個性を持っています。
その個性を表現できれば万々歳…ということで―
まだまだ私の手は上げる気配を見せません。

朗読:岩本りか
作品:「偶然に、乾杯」谷村志穂 著


朗読者よりコメント: ちょっと大人なバーで、大人な会話。それぞれにさまざまな歴史がある大人ならではの時間と空間。
重ねてきた時間は、そっと心の中にしまい込まれ、その人の魅力になる。
年齢を重ねてゆく愉しみを最近しみじみと感じています。今回もまた朗読発表会に参加させていただける喜びと、みなさんとの出会いと繋がりに、、乾杯!

朗読:山本ゆき子
作品:「証言(あるチベット難民の)」自作散文詩


朗読者よりコメント: 「天空の秘境 チベット」に生きる人々は、厳しい自然環境にあるだけではなく、厳しい政治的状況にもさらされている。多くの人々が、「人間としての尊厳」を求めて、氷雪のヒマラヤを命がけで越えて亡命する。その中の1人の「証言」を伝えたい。

朗読:上妻沙恵
作品:「着ぐるみのいる風景」喜多南 著


朗読者よりコメント: 通勤電車という日常に起きた非日常な出来事を描いた作品です。 はじめての発表会ですが、主人公の不思議な出来事に対する好奇心や葛藤を一緒になって感じ取っていただけるように朗読できたらと思います。

朗読:カンナ
作品:「花さき山」斎藤隆介 著


朗読者よりコメント: 長く朗読をお休みしていたので、今回は復活組となります!作品については、リハビリを兼ねて短いものを選びました。
ほのぼのと、心のどこかで「優しい花」がさいてくれるといいのですが……?

朗読:垣内浩子
作品:「旅への誘い」 織田作之助 著



朗読者よりコメント:今回生誕100年の大阪の作家織田作之助の作品を選んだ。「オダサク」と親しまれ「夫婦善哉」(1940年作)の作者として有名。彼は1913年(大正13年) 大阪市南区生玉前町生まれ、戦争が終わった2年後1947年(昭和22年)に結核で33歳で亡くなられている。

当時は非常に言論抑圧が強く戦争中には発禁処分も受けたことがあり、今回朗読する「旅への誘い」は1943年(昭和18年)に書かれているが未発表の作品。

『自分の青春を犠牲にしてまで東京の学校に行かせてくれた姉、喜美子が病死。
姉の死に報いるため、南方派遣日本語教授要員に志願した田中道子は、姉宛てに届けられた手紙を読む。
それは、姉の死を知らないままに航空隊へ入隊する青年、佐藤正助からの手紙だった。』

戦争中の男女同権など全く考えられていなかったその時代に、作者が自立しようとする女性に温かい目を注いでいるのが嬉しい。そして庶民の日常を淡々と、語るような文体で書かれていて、日本の言葉の美しさをとても感じる。
しかし、この作品を朗読するとなると技術ではない朗読力がとても必要だと思った。
朗読する力(リキ)が。

文章につられて淡々と朗読すればその文章の淡々さに、吸い取られ、美しい日本の言葉を美しく表現しようとすると、その言葉の美しさに声が吸収されてしまう。
それに負けない朗読力というかリキが要求されるように思う。
さてさて・・最後まで文章に負けない力(リキ)が得られるか?

そして願わくは白黒の映画を見るように、見ているように朗読出来たら思っている。

朗読:北山阿梨
作品:「ガールズ・オン・ザ・ビーチ〜虹の岬の喫茶店より〜」 森沢明夫 著


朗読者よりコメント: 虹の岬の喫茶店という作品は、春→夏→秋→冬→春→夏と巡る季節の中で、虹の岬の喫茶店を訪れた人々の人間模様が描かれています。どの季節もいい話なのですが、今回私が読む夏編の「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」は、個人的に好きな話です。というか、読んでいると、若いな、青春だな、私もこんな恋してみたいな、と思います。(笑)ちょっと古いですが、キュンキュンしちゃいます。

もしかしたら、私の朗読を聞けば、皆さんも恋がしたくなっちゃうかも!?しれません。…というのは冗談ですが(笑)、少しでも皆さんがほっこりとした気持ちになれるよう、読ませていただきます。

朗読:末冨喜子
作品:「稲荷」 内田百 著


朗読者よりコメント: 稲荷にまつわる随筆を二編お送りします。内田百閧ェ幼年時代の思い出を語ったもので、一話目は婆やに連れられてお稲荷様へお詣りに行ったお話、二話目は真夜中に発生した不思議な音をきっかけに町内を挙げてお稲荷様を祭るお話。
いずれもお話の最後には人の思いやり、気遣いの有難さを感じさせる作品です。

随筆を朗読する機会はこれまであまりなかったので、どんな風に表現をしたら良いのか悩み中ですが、新しい領域が拓けると良いなと思います。

朗読:洋恵
作品:「バラと『江差追分』」佐藤道夫 著


朗読者よりコメント: バラは少し苦手です。あの、華やかで優雅な姿、甘すぎる香りに一歩下がってしまいたくなるのです。
そんなわたしが、「読みたい!」と選んだ作品です。

送り主のわからない、誕生日に届けらるバラの花束。
バラは何を伝えるために検事のもとへ。。


朗読:長岡孝美
作品:「バルタン最後の日」 加納朋子 著


朗読者よりコメント: この話の主人公は、バルタンという名前のザリガニです。ザリガニが主公!?どんな話?と思う人も多いと思います。
私もザリガニ?と思いながら読み始めましたが、最後はほっこりとした気持ちになりました。

物語は、小学生のフータが釣ったザリガニ(バルタン)が一家の一員となり、お父さん、お母さんそしてフータの家族の様子を、バルタン視点で語っていきます。
家族はなぜかバルタンにだけ悩みや愚痴を打ち明け、家族の前では本音を語らない・・・バルタンの少しとぼけたような語り口調と一家の愛おしさ感じる不器用さが、うまく描かれているお話です。
タイトル通り、ラストシーンはジーンとさせられますので、これをうまくみなさんにお届けできればと思います。



朗読:坂本美夕
作品:「The Book Day」三崎亜記 著


朗読者よりコメント: この作品は『本からはじまる物語』という本をテーマにした短編集の中の一編です。
本の魅力を感じられる作品群のなかでも、この「The Book day」は本を選ぶ時の高揚感や書棚の本への愛着を思い出させてくれるお話です。
少しファンタジックな世界を読み終わった後、現実での本との出会いがより大切に思えました。
大量にある本の中から出会えるのは、ごく一部。
この発表会も、新たな本との出会いの機会になったらなと思い選びました。

朗読:SARA
作品:「踊りたいけど踊れない」寺山修司 著


朗読者よりコメント:
主人公は十五歳の少女「ミズエ」です。彼女の手や足はまったくミズエのいうことをきかなくなりました。 “踊りたいけど踊れない” なぜでしょう?そして・・・?……寺山修司氏の童話から。

言葉に心動かされる、そんな時の自分の内だけの感覚。それをそのまま表現すれことはなんて難しいんだろう。ーそう思ったことが、私が朗読を始めたきっかけです。
寺山修司氏も、そんな言葉をたくさんうみだしてくださった方。
すてきな言葉を、目で見るだけでなく、口にすることでまた新たな感覚を頂ける、そんな楽しみ方をしています。


朗読:比果憲子
作品:「白い記憶」 星新一 著


朗読者よりコメント:
この作品「白い記憶」を初めて読んだとき、ふっと笑ってしまいました。みなさまに、星新一氏のスマートなユーモアが伝わるように、私にとっては二回目の発表会、がんばります!

朗読:中野海帆子
作品:「やまなし」 宮沢賢治 著


朗読者よりコメント:
イーハトーヴの蟹の子供たちの物語です。小学校の教科書で読んでから可愛らしい語感が気になっていた作品を選んでみました。
宮沢賢治の繊細な描写と、季節感を感じながら楽しく読めたらと思います。