朗読:垣内浩子
作品:「旅への誘い」 織田作之助 著
朗読者よりコメント:今回生誕100年の大阪の作家織田作之助の作品を選んだ。「オダサク」と親しまれ「夫婦善哉」(1940年作)の作者として有名。彼は1913年(大正13年)
大阪市南区生玉前町生まれ、戦争が終わった2年後1947年(昭和22年)に結核で33歳で亡くなられている。
当時は非常に言論抑圧が強く戦争中には発禁処分も受けたことがあり、今回朗読する「旅への誘い」は1943年(昭和18年)に書かれているが未発表の作品。
『自分の青春を犠牲にしてまで東京の学校に行かせてくれた姉、喜美子が病死。
姉の死に報いるため、南方派遣日本語教授要員に志願した田中道子は、姉宛てに届けられた手紙を読む。
それは、姉の死を知らないままに航空隊へ入隊する青年、佐藤正助からの手紙だった。』
戦争中の男女同権など全く考えられていなかったその時代に、作者が自立しようとする女性に温かい目を注いでいるのが嬉しい。そして庶民の日常を淡々と、語るような文体で書かれていて、日本の言葉の美しさをとても感じる。
しかし、この作品を朗読するとなると技術ではない朗読力がとても必要だと思った。
朗読する力(リキ)が。
文章につられて淡々と朗読すればその文章の淡々さに、吸い取られ、美しい日本の言葉を美しく表現しようとすると、その言葉の美しさに声が吸収されてしまう。
それに負けない朗読力というかリキが要求されるように思う。
さてさて・・最後まで文章に負けない力(リキ)が得られるか?
そして願わくは白黒の映画を見るように、見ているように朗読出来たら思っている。
朗読:北山阿梨
作品:「ガールズ・オン・ザ・ビーチ〜虹の岬の喫茶店より〜」 森沢明夫 著
朗読者よりコメント:
虹の岬の喫茶店という作品は、春→夏→秋→冬→春→夏と巡る季節の中で、虹の岬の喫茶店を訪れた人々の人間模様が描かれています。どの季節もいい話なのですが、今回私が読む夏編の「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」は、個人的に好きな話です。というか、読んでいると、若いな、青春だな、私もこんな恋してみたいな、と思います。(笑)ちょっと古いですが、キュンキュンしちゃいます。
もしかしたら、私の朗読を聞けば、皆さんも恋がしたくなっちゃうかも!?しれません。…というのは冗談ですが(笑)、少しでも皆さんがほっこりとした気持ちになれるよう、読ませていただきます。
朗読:末冨喜子
作品:「稲荷」 内田百 著
朗読者よりコメント:
稲荷にまつわる随筆を二編お送りします。内田百閧ェ幼年時代の思い出を語ったもので、一話目は婆やに連れられてお稲荷様へお詣りに行ったお話、二話目は真夜中に発生した不思議な音をきっかけに町内を挙げてお稲荷様を祭るお話。
いずれもお話の最後には人の思いやり、気遣いの有難さを感じさせる作品です。
随筆を朗読する機会はこれまであまりなかったので、どんな風に表現をしたら良いのか悩み中ですが、新しい領域が拓けると良いなと思います。
朗読:洋恵
作品:「バラと『江差追分』」佐藤道夫 著
朗読者よりコメント:
バラは少し苦手です。あの、華やかで優雅な姿、甘すぎる香りに一歩下がってしまいたくなるのです。
そんなわたしが、「読みたい!」と選んだ作品です。
送り主のわからない、誕生日に届けらるバラの花束。
バラは何を伝えるために検事のもとへ。。
朗読:長岡孝美
作品:「バルタン最後の日」 加納朋子 著
朗読者よりコメント:
この話の主人公は、バルタンという名前のザリガニです。ザリガニが主公!?どんな話?と思う人も多いと思います。
私もザリガニ?と思いながら読み始めましたが、最後はほっこりとした気持ちになりました。
物語は、小学生のフータが釣ったザリガニ(バルタン)が一家の一員となり、お父さん、お母さんそしてフータの家族の様子を、バルタン視点で語っていきます。
家族はなぜかバルタンにだけ悩みや愚痴を打ち明け、家族の前では本音を語らない・・・バルタンの少しとぼけたような語り口調と一家の愛おしさ感じる不器用さが、うまく描かれているお話です。
タイトル通り、ラストシーンはジーンとさせられますので、これをうまくみなさんにお届けできればと思います。
朗読:坂本美夕
作品:「The Book Day」三崎亜記 著
朗読者よりコメント:
この作品は『本からはじまる物語』という本をテーマにした短編集の中の一編です。
本の魅力を感じられる作品群のなかでも、この「The Book day」は本を選ぶ時の高揚感や書棚の本への愛着を思い出させてくれるお話です。
少しファンタジックな世界を読み終わった後、現実での本との出会いがより大切に思えました。
大量にある本の中から出会えるのは、ごく一部。
この発表会も、新たな本との出会いの機会になったらなと思い選びました。
朗読:SARA
作品:「踊りたいけど踊れない」寺山修司 著
朗読者よりコメント: 主人公は十五歳の少女「ミズエ」です。彼女の手や足はまったくミズエのいうことをきかなくなりました。
“踊りたいけど踊れない” なぜでしょう?そして・・・?……寺山修司氏の童話から。
言葉に心動かされる、そんな時の自分の内だけの感覚。それをそのまま表現すれことはなんて難しいんだろう。ーそう思ったことが、私が朗読を始めたきっかけです。
寺山修司氏も、そんな言葉をたくさんうみだしてくださった方。
すてきな言葉を、目で見るだけでなく、口にすることでまた新たな感覚を頂ける、そんな楽しみ方をしています。
朗読:比果憲子
作品:「白い記憶」 星新一 著
朗読者よりコメント: この作品「白い記憶」を初めて読んだとき、ふっと笑ってしまいました。みなさまに、星新一氏のスマートなユーモアが伝わるように、私にとっては二回目の発表会、がんばります!
朗読:中野海帆子
作品:「やまなし」 宮沢賢治 著
朗読者よりコメント: イーハトーヴの蟹の子供たちの物語です。小学校の教科書で読んでから可愛らしい語感が気になっていた作品を選んでみました。
宮沢賢治の繊細な描写と、季節感を感じながら楽しく読めたらと思います。
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