朗読発表会『夏の声』朗読作品@
朗読:尾関朋子 作品:「野ばら」小川未明 著
朗読者コメント:この作品は、『日本のアンデルセン』とも呼ばれている、小川未明の童話です。
作品の優しい雰囲気が大好きなので、選びました。
タイトルの《野ばら》は、最後に枯れてしまいます。それはなぜでしょうか?
「野ばらは、老兵士と青年兵士との友情の象徴。だから戦争によって二人の間が引き裂かれたときに枯れた。」
私はずっとそう思っていましたが、今回、読み返したときに少し違う感想を持ちました。
青年兵士は、なぜ夢に現れたのか。目覚める前に、老人兵は何を言おうとしたのか。
朗読発表会『夏の声』朗読作品A
朗読:山本ゆき子 作品:「夭折」自作散文詩
朗読者コメント:大正時代に極貧の家に生まれるということは、決定的なことだった。
極貧の家に生まれた賢くて性格のよい少年は、悲劇的な人生を生きねばならなかった。
その救いのない生涯を、三歳下の妹の目から描いた作品。
朗読発表会『夏の声』朗読作品B
朗読:大石麻衣子
作品:「ATM」太田忠司 著
朗読者コメント:
多くの人々が日常的に使用するATM。
一人の男が、いつものように現金を引き出そうとすると、ATMからアンケートへの回答を求められます。
ささやかな謝礼に惹かれて引き受けた男に、ATMは数々の奇妙な質問をしてきます。
その内容は徐々にエスカレートし、ついにはひどくプライベートな交友関係にまで及んだ時、男はとある大きな選択を迫られます。
果たして、奇妙なアンケートの真意とは?
そして男の選んだ答えとは?
どなたにでもわかりやすく、8分間という限られた時間内で次の展開が気になって楽しめるものを、と思い、この作品を選びました。
ぜひお気軽に、この展開をお楽しみいただければと思います。
朗読発表会『夏の声』朗読作品C
朗読:美砂 作品:自作詩
朗読者コメント:息子が大学で演劇をやっているので声の表現に興味をもち、昨年からレッスンに通うようになりました。
といっても、遠方に住んでいるのでなかなかレッスンを受講できないのですが、このたび勇気をだして発表会に初参加させていただくことを決めました。私は20代の終わり頃から詩を書いていて、今回は昨年出版した三冊目の詩集から何編か選んで朗読することにいたしました。
今まで佐野先生以外の方に朗読を聴いていただいたことなどなく、はたして皆様にどのように届くのか心配ではありますが、自分の詩を皆様に披露できる喜びを胸に、拙いながらも精一杯朗読したいと思います。
朗読発表会『夏の声』朗読作品D
朗読:カンナ
作品:「神無月」宮部みゆき 著
朗読者コメント:宮部みゆきの短編小説の中から選んだ「神無月」。
神様がみんな出雲に出掛けてしまっているから・・・・
そのせいで起こった不幸せの穴埋めに出掛ける畳職「市蔵」
それを追う岡っ引きと、居酒屋の親父との会話。
言葉に出さなくても何となくその場の心の襞が感じ取れる作品の
朗読はなかなか手強いです。
作者の心が少しでも伝えられればと・・・・・神無月に神様が集まる出雲大社に一昨日お参りをしてきました。
朗読発表会『夏の声』朗読作品E
朗読:花凛 作品:「尾生の信」芥川龍之介 著
朗読者コメント:魯の国の尾生は、橋の下で女と会う約束をして待っています。
しかしいつまで経っても女は現れません・・・。
中国、史記にあるお話を、芥川が神秘的によみがえらせています。 落ち着いて読めるようがんばります。
朗読発表会『夏の声』朗読作品F
朗読:SARA
作品:「エルトゥールル号の遭難 トルコと日本を結ぶ心の物語」
文/寮美千子 絵/磯良一
朗読者コメント:「世界一の親日国はこうして誕生した。
1890年(明治23)、イスタンブールからやってきたトルコの軍艦が故国への帰路、嵐に遭って紀伊半島沖で沈没した。そのとき、串本・紀伊大島の人々は危険を顧みずに海へ向かった。
それから約100年後・・・。
1985年(昭和60)、ミサイルが飛び交うイラン・イラク戦争のさなか 215名の日本人がテヘランに取り残された。
絶体絶命の危機に立つ日本人の前に現れたのは、トルコからの救援機だった!―トルコと日本、120年を越える友情の原点となる物語―」
絵本の帯より。
朗読発表会『夏の声』朗読作品G
朗読:出島ひろ子
作品:『蝶』「剃刀日記」より 石川桂郎 著
朗読者コメント:
石川桂郎(1909〜1975)。
父の家業の床屋を手伝うかたわら俳句「鶴」の同人となり、同誌に発表した『蝶』が永井龍男に認められる。
床屋という仕事柄か客の外見、動作からもこまかな嗜好を推察する、それは作家にも通ずるものがある。
床屋の家業を通して書いた短編集「剃刀日記」である。
小説の師である横光利一が序を書いている。
「石川桂郎の諸短編はときどき雑誌の一角を埋めているのを私は眼にした。
秋晴れの日通りすがりの路傍から金木犀の匂いの流れて来るときは、ふと足を停めることがあるが、氏の作を見るときもそんなに私の足を去らしめない何ものかがあって、その日の忙しさを暫く忘れるのが常である。
一度嗅いだが最後も早や忘れがたくなる匂い????これは何だろう。
汚れを知らぬ簡素な心を放つ匂いである。哀愁を誘いながら微笑をもって門を送る。
この清らかな慰めは、秋から冬にかけ、また冬から春におよぶ季節の変わり目に、稀に見る好天の日の、恙ない夕餉のひとときを想う。
こういう夜は私には一年のうちでたまにしかないのだが。」
この序を読んで石川桂郎が好きになった。
朗読発表会『夏の声』朗読作品H
朗読:井田陽子
作品:「ラブ・ミー・テンダー」江國香織 著
朗読者コメント:朗読を始める前、江國香織さんの作品は、なんとなく毛色が違う(?!)気がして、素通りしてきたのですが、朗読を聴いてすぐに、あの独特の柔らかい、ちょっと切ない世界にはまってしまいました。
この「ラブ・ミー・テンダー」も、おかしくて、ちょっとキュンとなる、家族の物語です。
そんな、江國ワールドを少しでも感じてもらえるように、朗読できたらいいのですが…。
朗読発表会『夏の声』朗読作品I
朗読:たなかかず 作品:「他人の夏」山川方夫 著
朗読者コメント:
夏になると都会からの避暑客で溢れかえる海岸の町。
まるでお祭りのように毎日が賑やかになるが、この町で生まれた慎一にとっては他人のお祭りでしかなかった。その「他人の町」の夜の海で、自殺するつもりらしい一人の若い女と出会う。
生きがいを得ることが不可能になったから自殺した慎一の父。
慎一を介して語られるその父の言葉に女は感じるものを見出し翌朝町を出る。
夜の海での幻想的な情景が印象的で映像的な作品です。
朗読発表会『夏の声』朗読作品J
朗読:比果憲子 作品:「だってだってのおばあさん」佐野洋子 著
朗読者コメント:この本は子供むけの童話ですが、読み終えたあと、主人公のおばあちゃんに歳がちかい大人の私の方が、うれしくなる本です。毎回読むたびに元気をもらえる気がして、大好きな本です。
おばあちゃん、おじいちゃん、おじさん、おばさんにも聞いてもらって、皆が元気になれるように、朗読頑張ります。
オリジナル朗読劇 『パンプキン王国の計画』
朗読=朗読ユニット モノクル(岩本りか/洋恵/辻あきこ/長岡孝美)
河村聡子・尾関朋子(グラス・マーケッツ)
演出=佐野真希子 脚本=池田長十
音楽=原澤孝之
モノクル初の大舞台となる朗読劇は、グラス・マーケッツの代表池田氏によるオリジナル作品です。
野菜たちの不思議な国「パンプキン王国」の物語は、パンプキン、エリンギ、セロリ、パプリカ、オニオンが登場する大人ファンタジー。
王国ではパンプキン1世から王子へと、王位継承がなされようとしています。
なぜ今 1世は王位を譲ろうとしているのか?
王子にはある使命が託されていたのです。
2週間後の即位式までに、王子は託された使命を果たせるのでしょうか…。
劇中歌やイラスト投影などがあり、1人ではなくみんなで協力して作品をつくることの楽しさを伝えることができればと思っています。
それぞれの個性豊かな役どころも楽しんでもらえればと思っています。
朗読発表会『夏の声』朗読作品K
朗読:中野海帆子
作品:「ウエタミ」銀色夏生 著
朗読者コメント:
朗読発表会『夏の声』朗読作品L
朗読:垣内浩子 作品:「車坂」宮部みゆき 著
朗読者コメント:口入屋《くちいれや》(奉公人の勤め口を世話する職業)の軒先に、車坂をみつめて佇む女。
待っていた男は凶状持ち(前科者)となって帰ってきた。
以前、発表会での朗読を聞いて、私もドラマチックに朗読したいと思った。
しかし、いざ朗読してみると、3人の男の会話が重要なポイント。
三人三様の声色がなんと難しいことか。
テレビの時代劇を観ているような、そんな朗読が出来ればと思っているのだが……。
そしてドラマチックに……。
朗読発表会『夏の声』朗読作品M
朗読:宮澤那奈
作品:「泣きたい夜はラム」「彼女のこんだて帖」より 角田光代 著
朗読者コメント:一観客だった前回の発表会でその存在を知った『彼女のこんだて帖』。
今回、初参加の発表会で、その中の一編を朗読させていただきます。
恋人と別れた女性が、自分のために豪華なディナーを作って、たった一人の晩餐会をし、思いを巡らせます。
誰かと一緒にする食事も楽しいですが、自分のために作ったご飯を味わいながらゆっくり過ごす時間は、自分自身と対話できる貴重な時間かもしれません。
年代が近いであろう主人公に思いを重ねて、等身大の自分で読んでみようと思います。
朗読発表会『夏の声』朗読作品N
朗読:田中直実
作品:「3びきのかわいいオオカミ」ユージーン・トリビザス著
朗読者コメント:この作品は、有名なイギリス民話『三匹の子ぶた』の逆バージョンで、三匹のかわいいオオカミたちが、悪い大ブタに家を次々と壊されてしまうお話です。
三匹のオオカミは、壊されるたびに話し合い、さらに丈夫な家を建てるのですが、悪い大ブタにはどうしてもかないません。
そこで三匹は、最後にある材料で家を建てることにしました。
いったいそれは何でしょうか。そして、悪い大ブタはどうなってしまうのでしょう。
3歳になる息子に毎晩、絵本を読み聞かせているのですが、その中でもお気に入りの一冊です。
大きな舞台での朗読は初めてで緊張しますが、かわいらしいイラストとともに、おとぎの世界を味わっていただけましたら幸いです。
朗読発表会『夏の声』朗読作品O
朗読:愛子
作品:「はなとゆめ」沖方丁 著
朗読者コメント:昨年11月に出版された「はなとゆめ」より、平安の世から千年の後のこの平成の時代まで、書き写され読み継がれてきた「枕草子」の由来の部分を中心に、抜粋してお届けします。
時は平安中期。
朗読部分の【登場人物】は、
●一条帝(一条天皇)=時の天皇。妃である定子に深い愛情を注ぐ。
●中宮定子=藤原通隆の娘。14歳で一条帝の妃となる。容姿端麗の才女。人の隠れた才能を見抜き、育てる能力を持つ。
●清少納言=歌人・清原元輔の娘。中宮定子の女房として仕えることに。劣等感を抱き宮中では控えめにふるまっていたが、定子によって才能を開花させられる。
(階ADOKAWA「はなとゆめ」特設webサイトより引用)
清少納言は、中宮定子に正暦4年(993年)冬頃から、定子が亡くなる長保2年(1000年)まで仕えました。
二人の間には、天皇の妃とその妃に仕える女房として、立場・身分に大きな隔たりがあったものの、清少納言の教養・機転・風雅なものを見出す感性に、定子は深く共感します。定子は、清少納言の才能を目覚めさせようと計らい、清少納言もそれに応えて成長していきました。そして、枕草子は、もともとは清少納言からの恩返しとして、定子ひとりを喜ばせるために書き綴られたエッセイだったのですね。
夏のひととき、清少納言が宮中で見た「華」と「夢」の物語の一端をお楽しみいただければ・・・と思います。
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